親とは子供が小さい頃から将来を考えてしまう生き物だ。
昭和と平成は勉強を頑張り大きな会社入る事が幸せへの近道で
それ以外の道へ進む人はいばらの道だとされる考えが多くを占めていた。
学校は校則で無個性を強いるのに就職活動では個性を問われる不思議な国、日本。
昭和・平成の幸せとは就職、結婚、子供を授かり、家を買い、車を買う事。
これを達成できない人は人間的に欠けているかのように言われる時代だった。
今なら多くの人がつまらない価値観だなと思うだろうが実際筆者もそのイメージで育てられた。
そして40歳の今、子を育て家を買い車を買った後の人生にこれといった目標が無い。
安定した生活で幸せだなと思う反面、もっとチャレンジングな職業を選択したらどうだったんだろうな…と思う事が多々ある。
中学生時点で自分は大した事ない人間だと思って成長したのでチャレンジをしなかった。
別に子供に「末は博士か大臣か」なんて期待は持っていないが、
例えば普通に勉強して少しでも偏差値の高い大学を目指し、少しでも社員数の多い企業の内定を勝ち取る事が幸せだとは説かないと思う。
おそらく今、この令和において子育てしている多くの親が何となくそう思っているのでは。
大きな会社に入っても40代50代でリストラの危機に晒される世の中で、
どうすれば子供は逞しく生きられるだろう。
子供は子供で自由に生きれば良い。
だけど、サポートしてあげたいとも思うのが親心だ。
[生き方/ライフプラン]
考えられる生き方は大きく分けて4つだと思う。
1,偏差値の高い大学を目指し少しでも大きな会社に就職する。
2,専門的なスキルを持っている人でないと入れない会社へ就職する。
3,起業して経営者になる。
4,スポーツまたは芸術・芸能の才能を磨き夢を追う仕事に就く。
余談だが令和の若者(Z世代)は他の世代に比べて「失敗を極端に嫌がる」傾向が強いというデータが有る。(引用元忘れた)
筆者の子供はまだ幼児なのでZ世代の次の世代になる。
物心つく前からコロナが蔓延しているこの世代はこの先どういう特徴を持つのか。
[薬剤師]
唐突だが筆者の妻は薬剤師だ。
薬剤師はAIと言う言葉が流行り始めた頃から、機械に取って代わられる職業ランキングの上位に常に位置している。
処方箋を自動販売機に入れれば薬が勝手に出てくるという未来は簡単に想像できるからだろう。
(絵を描いたり小説すら書けるAIに出来ない職業の方が少ないと思うけど)
だが完全自動運転が中々一般家庭車に普及しないのと同じで、薬剤師も全くAIに取って代わられる雰囲気を持っていない。
万が一バグで全然違う薬が出てきたら大変だ。
可能であるという事と実際に導入するのは大きく違う。
ましてやここは安全大国日本。導入は当面先の事だろう。
また、薬剤師が勤務する調剤薬局はコンビニより多い。
2018時点で31万人居るそうだ。
先進国の中でも断トツらしく海外に比べ年収が高い事が原因の1つらしい。
この31万人が職を失えば大混乱だ。
だからいずれAIに取って代わられるとしても段階的だろうし、
有資格者を減らすしかないから試験の難易度はとても高くなるだろう。
既に資格を取得している妻は日本、特に東京に居る限り職に困る事はない。
コンビニより件数の多い調剤薬局はいつでも人手不足だ。
待遇に差こそあれ年収に大きな開きは無くどこの会社へ行っても行う業務はほぼ同じだ。
[システムエンジニア]
筆者の職業はシステムエンジニア(画像はプログラマだけど)。
先進国の中では逆にかなり待遇が悪い職業だが筆者はシステム会社ではなくとあるメーカーに勤務している社内SEだ。
社内SEはシステム会社に比べると俄然待遇が良い。(最初はシステム会社勤務だった。)
扱い的には経理や人事と同じだ。
また、他の会社への転職もそれほど困難ではない為、職業選びでは薬剤師ほどではないが比較的安全エリアになる。
筆者が今の会社(そこそこ大きい)で管理職になれたのも一重にスキルのおかげだ。
システム開発の知識を持っている人間は普通メーカーではなくシステム会社に行く。
名前の通った大学出身者ばかりのこの会社で、専門学校出身の筆者が正社員になれたのは(少なくとも)この会社では貴重なエンジニアだからだ。
あなたは何が出来るの?と聞かれた時に「私は〇〇のスペシャリストです」と自信を持って言える人間はそうではない人間に比べて強い。
[職人系の職業]
妻も筆者もいわゆる「手に職を付けている」職人系の職業だ。
職人系の職業は会社への依存度がそれほど高くないのでライフプランを考えるうえでそれほど不安にならない。
(最悪潰れて他の会社へ行っても業務内容が変わらない。更に横のつながりで勧誘を受ける事も有る。)
だから子供たちには普通に大学に行って普通に就職するより特殊なスキルを身に着ける事をおススメしたい。
例えば飲食業に勤めるとしてもフランス料理を真剣に学んで身に付ければ有名なホテルに就職できる可能性が有る。
そこで修行を積み、自分で開業する事だって出来る。
どの業界でもその道の高等技術を習得するとその先の可用性、選択の幅が増える。
料理という点にだけ絞ると高級なフレンチやイタリアン、中華、割烹、すし屋などできちんとした師匠の指導を受けて修行に打ち込んだ方が選択肢は増えるし経歴に重みが出る。
板前さんが見習い時代に厳しい修業に耐えられたのはその先の将来が明るいと信じていたからだ。
(ブラック企業はダメですよ。)
筆者の友人に植木屋が居る。
勉強が苦手だった彼は大学へ行かず最初スーパーに就職した。だがスーパーでも大卒の人は入社時点で職位が上なのでどうしても馴染めず、学歴不問の職人の道へ進み一生懸命に頑張った。
今では家を建て2児の立派な父親。
インスタで仕事っぷりを見ている、猛暑で大変だろうが仕事終わりの写真はいつも綺麗な庭だ。
勉強が出来なくても彼はまっとうで幸せな人生を手に入れている。
我が子がどうしても勉強が苦手な子だった場合、どうして出来ないんだと無理に勉強を強いるより筆者の友人のように若い内から職人の道を歩んだ方が変に劣等感を刷り込まれずまっとうで安定した人生を送れる可能性が高い。
ただ難しいのは職人の職業を選択する場合、どの道に進むかを高校時代に決めなくてはならない事だ。
システムエンジニアなら大学でも間に合うが、薬剤師や医師などは高校在学中に道を決めなくてはいけない。
また引き返しが難しい。
その道に飽きてしまった、怪我をしてしまったなど転職したい場合は厳しくなる。
活躍できずに引退するプロスポーツ選手なども同じだ。
理想は「どうしても学びたい事が有るからこの大学に行く!」とか「この教授から学びたい!」という事だ。
そこで学んだ知識を更に就職先や起業した際に役立ててもらいたい。
勉強が好きでまだまだ学びたいと言うなら反対する理由は何もない。
しかし多くの場合は特にやりたい事が決まってないから少しでも偏差値の高い大学に入りとりあえず大卒の資格を得るという事になると思う。
もちろん大学でなりたい職業と出会える可能性は充分に有る。
何となく就職した会社で天職ではないにしろそれなりの満足感を得て働いている人も大勢いる。
しかしそもそも勉強が苦手な子にとりあえず大卒資格を持たせる事が正解か不正解は後になってみないと分からない。
4年を費やして大卒という保険を買うより有効的な時間の使い道が有るかもしれない。
高校生になった子供に「将来何になるんだ?大学は行くのか?」と聞くのではなく、
「どういう道に進むのが良いかねぇ」と一緒に考えていきたい。
[それともう一つ]
目標や理想を追い続ける人生は素敵だと思うが、
それがお金持ちになりたいとか「もっと欲しい」という欲になってしまうと不幸な人生を歩んでしまう。
やりたい仕事が稼ぎの良い仕事で、頑張った結果裕福になるなら祝福したいが「お金持ちになりたい」と言う目標だと少し違和感を覚える。
なにより欲望には限りが無い。
このくらいで満足だ、もう充分だと満ち足りる事も覚えて欲しい。
強欲は身を亡ぼす。
凡人の筆者が子供に教えられることは少ない。
失敗もしてないが成功もしてないので俺のようになれとも言えないのだった。
どうせどんな道を歩んでも苦労はする。苦労しない道が幸せとは限らない。
だけどどうせ苦労するなら努力が無駄にならない道を歩んで欲しい。
特にスキルも持たず大人になり、何となく入った会社で納得のいかない努力を強いられ低い報酬を得るより、数少ないスキルを持った貴重な人間を目指した方が存在価値が高まる。
報われる保証はないが、役者とか音楽家になりたいというハッキリした夢を持てるならそれはそれで幸せな人生だと私は思う。
才能の有無にかかわらず一生懸命に頑張る人の周りには素敵な仲間が集まる。
本人が晩年に「悪くない人生だった。」と思える事が大事だ。
ちなみに筆者は生まれ変わったら宮大工になって千年後の未来に神社仏閣を残す仕事に従事したい。
さて息子達は何になるのかな。
おしまい。