M1グランプリ 振り返り② 2020年編
M1グランプリ振り返りついて書く、その②。
昨日M1振り返りを書いていて凄く楽しかったので本日も書く。
正月でする事ない時、待ち合わせの時、電車でイヤホン忘れた時、そんな時の暇つぶしで読んで頂けると嬉しい。
最初にひとこと。
M-1グランプリ2021では最初に1組、決勝進出以外のメンバーが漫才を行い
点数のベースを作られてから開始してみてはどうでしょうか。
(過去の優勝者、準決勝敗退者、参加してない人、どれが良いのかは分からないけども。)
関係者がたまたまこのブログに辿り着き、
更に意見が受け入れられるとは到底思えないが思い浮かんだので一応書いてみた。
しかし笑いは最高だ。
笑いに従事してる職業、お笑い従事者はみんな最高だ。
貴方たちのおかげで嫌な事が有ってもストレスが緩和される。
中でもお笑い芸人、落語家や講談師、喜劇など人前に出て笑いを取る職業は凄い。
前日死ぬほど嫌な事・悲しい事が有ってもテレビや舞台に立って笑いを取るのは大変な事だ、筆者には出来ない。
そう改めて思ったのは昨日M-1グランプリ 2020を見返したからだ。
冒頭コロナで世間から笑いが消えたという映像が有った後、
見取り図の盛山氏がこういった。
「こういう時代やからこそね、M-1が有って良かったと思います。ちょっと変わるんちゃいます?この暗い感じが。空気が。」
ニューヨークの屋敷氏も言った。
「今年1年ね、みんな大変やったと思うんで。僕らの漫才でみんな笑ってもらえれば。」
最後にもう一人出てくるのだが自信が無い、からし蓮根の杉本氏っぽい人が「こんな時代だからこそね。笑かします。」と言っている。
良いと思う。
もちろんM-1で優勝して売れたいという気持ちも有るだろう。
でも人を笑わせるという事がどれくらい素敵な事かは芸人自身が1番知っているのだろう。
だから自分達が頑張る事で日本を元気にしたいというセリフだ。
素晴らしい。
さて2020年のM-1だ。
まず順位を振り返る。
優勝 マヂカルラブリー
2位 おいでやすこが
3位 見取り図
4位 錦鯉
5位 ニューヨーク、オズワルド
7位 インディアンス
8位 アキナ
9位 ウエストランド
10位 東京ホテイソン
上位3組が最終決戦へ進み、
見取り図2票、おいでやすこが2票、マヂカルラブリー3票だった。
前年ミルクボーイが圧勝した事を考えると相当な激闘になった。
結果発表の瞬間は大抵後半に優勝するコンビが「まくる」事が多い気がするのだが
2020年はマヂカルラブリーが逃げ切る形になった。
アナザーストーリー(決勝進出コンビへの密着)で盛山氏が「最初2票、見取り図が有ったんで優勝かと思った。」というような事を言っていた。
改めて見返すとやはりどの組も面白かった。
だからこそM-1終了後にどのコンビも売れたのだろう。
あと上戸彩が可愛い。毎年可愛い。
ただ最も注目するのはやはり今年も決勝進出が決定している
インディアンス・オズワルド・錦鯉の3組だ。
インディアンスは敗者復活からの1番手というM-1史上初のドラマチックな登場となった。
敗者復活会場から会場へ急いで移動、
着いた途端に漫才開始というドタバタ劇だった。
セリフを噛むというトラブルは有ったが上手くフォローし終始賑やかなネタで会場を沸かせた。
今年もM-1楽しそうという雰囲気が一気に広がった。
アナザーストーリーでは敗者復活組がインディアンスに決定した瞬間の待機部屋の様子が映し出され、マヂカルラブリー野田氏が「最強のトップバッターだ」と発言する。
1番手じゃなければもっと上位だっただろう。
インディアンスが1番だったから面白いM-1になった事は間違いない。
オズワルドは優勝したマヂカルラブリーの直後。
前年も優勝したミルクボーイの直後。くじ運が悪すぎる。
ただ優勝したマヂカルラブリーも直前に「おいでやすこが」が爆笑させていた。
爆笑させた直後の出番が必ずしも悪いという訳ではないのだろう。
ネタは「名前を変えたいがア行だけだと口に物を突っ込まれそう」というもので面白かった。
オズワルドは台本を活字にしても充分面白い漫才だ。
審査員の意見も割れた。
騒がしい漫才が2本続いた後だったので
松ちゃんはもっと静かにやった方が良いと言い、オール巨人師匠はもっとメリハリ付けた方が良いと言った。
錦鯉は2007年のサンドウィッチマンのような雰囲気を持っていた。
「こんな冴えないおじさん達が面白いのか?」
そんな雰囲気を序盤からぶった切った「レーズンパンは見た目で損してる」の切れ味。
パチンコになりたいという訳の分からないスキンヘッドおじさんが
仕事中なのに競馬場に居そうなおじさんにテンポよくツッコまれていた。
個人的に無名のおじさんは最初の30秒が勝負だと思う。
錦鯉は時間をかけずに次々と展開していくので初見の人でも楽しみやすい内容になっていた。
構成も面白い、バイキング小峠はツッコミの渡辺に必ずネタをチェックしてダメ出ししてもらうとお笑い実力刃で言ってた。脚本の腕は間違いないのだろう。
誰か(松ちゃん?)が言ってたが「お笑いは結局好み。」だ。
優勝するにはどうしたらいいのか。
審査員ウケするネタ作りという戦略的な要素が必要なのかもしれないし、
マヂカルラブリーのように自分達の笑いを信じて曲げず突き抜けて、
観客や審査員に参りましたと言わせるスタイルの方が良いのかもしれない。
後者の方が恰好良いとは思うが可能性は低い。
将棋の羽生善治さんの名言を引用する。
「何かに挑戦したら確実に報われるのであれば、誰でも必ず挑戦するだろう。
報われないかもしれないところで、同じ情熱、気力、モチベーションをもって継続しているのは非常に大変なことであり、私は、それこそが才能だと思っている。」
(出典:羽生善治の名言・格言集。進化を続ける天才棋士の言葉 | 癒しツアー)
マヂカルラブリーにはそれが出来た。
正解かどうか分からないのに。
凄い事だ。尊敬する。
筆者は今年の本命はオズワルドにしている。
見返しても本当に面白かった。
ただちょっと輩(やから)口調が乱暴なのでそこは正直気になった。
インディアンスはずっと90点の笑いを出すから終始面白いのだが「どんなネタだったか」を人に説明するのが難しい。
ボクシングならずっと良いジャブが入ってるがKOさせにくい。
クスクスからのドカンは「うるさいなぁ!」とか去年だと「(決勝なのに)余裕あるなお前!」というツッコミなのだが優勝するにはそれを何処で出すかに加えてもう一段何か必要になるかもしれない。(書いてて思うが何様なんだ筆者は。)
錦鯉も売れて良かった。
アナザーストーリーではお母さんお父さんがそれぞれ出てきて美談になっていた。
最高の親孝行だった。
錦鯉は現在くすぶっているベテランの引退を大勢引き留めたかもしれない。
今年は去年以上のモノを期待されているという前提でハードルが上がっていると思うが頑張って欲しい。
他のメンバーの振り返りも書いてみる。
見取り図の最終決戦の漫才は本当に素晴らしかった。
これでダメなら仕方ないんじゃないかと勝手に筆者が思えるくらいの面白さ。
構成からテンポから声の調子から最高傑作だと思う。欠点ゼロだ。
おいでやすこがのようなユニットコンビは別に珍しいわけではないこと、
おいでやす小田氏は毎年ユニットを別の人と組んでいたこと(ゆりやんとも組んでいた。)、
こがけんという最高の相棒を見つけ、
会話のやり取りを限界まで削る戦略にした事はつい最近知った。
ニューヨークは冠番組まで手にした。
冒頭で触れた僕らの笑いでみんなを元気に、を有言実行している。
際どい所を突くネタは新しくて時勢を読んでて面白かった。
ウエストランド、東京ホテイソンもテレビでよく見るようになった。
2組ともポテンシャルを感じるしウエストランドはキャラを固定化させて他のテレビでも笑いを取っている。
アキナは構成も演技力も有るんだから全然これからも大丈夫だろう。
1年前の結果に今さら言っても仕方ないが決勝に来た事自体が凄い事なのだ。
マジラブは優勝後の取材も良かった。
優勝報告をする方もされる方も泣いている。
美しい光景だった。
村上氏との出会いは運命という他無いだろう。
わざわざ書くのも野暮だが村上氏のツッコミが無いとマヂラブは輝かない。
優勝した起因は村上氏の解説兼ツッコミが格段に飛躍したからだと思う。
自分の笑いを信じる野田氏、野田氏を天才だと信じる村上氏。
最下位からの優勝はとんでもなくドラマチックだ。映画だ。
お笑い芸人に美談は必要ない、という人も居るだろうが
M-1がここまで超人気コンテンツになったのは、
単なるコンテスト以上に一晩で全てが変わる人生というドラマを観ているからだろう。
ど素人の筆者がこうして(客観的に見て)イタい評論を書くほどに、
筆者を含めネタなんて書いた事のないその辺の素人が、
あのコンビはここが良かった悪かったと話をするほどに、
M-1は日本のお笑いに革命をもたらした。
日本中をにわかお笑いファンにした。(褒めてます。)
週末の本番(19日)が楽しみだ。
おしまい。
M-1の過去記事はこちらです。
よしなにお願いします。