つつがなくそつがなく

ふらっと訪れクスっとしてもらう事を目指すブログ

国際ロマンス詐欺に疲れた話



 

※実際に筆者が今日までやりとりしていた体験です。キャプチャも私本人の物です。

※未然に読む事で詐欺に遭われる方が居なくなる事を祈ります。

 

日本人をターゲットにした国際ロマンス詐欺が流行

こちらはNHKが被害者にインタビューした記事。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220417/k10013586461000.html


SNSを使い、巧みな話術で信用させ現金や暗号資産を奪う詐欺。
冷静に考えて「自分がこんなものにひっかかる事は無い」と思う人が大半でしょう。

だがその被害は急増している。

理由は単純。やり取りが一週間に及ぶので、被害者の中で彼らは「見知らぬ人」ではなくなっていたのです。

 


被害者をこれ以上出さない為にもキャプチャ入りでやり取りを記録します。


連絡を受けた時点ではもちろん全く疑っていなかった。

筆者はSNSを通じて実際に会った外国人(台湾人とインド人)の友人を持つので、今回もそうなれば良いなと思ってやりとりしていました。

 

あらすじだけでも参考になれば幸いです

1,Twitterでフォローバックした外国人からダイレクトメールが届く。

2,シリア派遣中の米国軍人を名乗り、妻を亡くして身寄りはなく、本国に残してきた6歳の子供だけが唯一の身内だと言われる。

3,本人写真、家族写真、パトロール中の様子、食事などが送られ数日間ゆっくり親交を深める。

4,任務を終えたら子供を連れて日本移住を考えている、ホテル業を始めたいと真剣な相談をされる。その後また数日間は世間話。

5,ある日、パトロールの成果が実を結び、テロリストの一部を逮捕出来たと報告される。

6,シリア政府から謝礼として多額の現金と金塊をプレゼントされたと写真が届く。

7,本国に居る子供では受け取れないからこれをあなたに送りたい、しばらく預かってくれと依頼される。

8,断ってもしつこく頼んでくる。聞いてもいないLINEのIDを伝えてくる。以後こちらがOKするまで懇願する模様。

 

※設定は毎回変わると思います。必ずしも軍人ではなく資産家、医者なども居るようです。

 

流れは以上です。

7でOKすると冒頭に貼った画像のように個人情報を要求されます。

私が断固OKしなかったので勝手に要求してきました。

 

個人情報を教えてしまうと、また数日後に

「あなた宛てに荷物を送ったよ」と連絡が来ます。

その後、「税関で荷物が特殊な検査にひっかかったから検査費用が必要、悪いけど立て替えてくれる?」と言われます。

これで詐欺は完了です。

「海外ロマンス詐欺 手口」で検索するとたくさん出てきます。

 

また、欧米ではLINEが普及していません。

SNSで知り合ったヨーロッパ・アメリカ・カナダ人からLINEでやり取りしようと誘われたら海外ロマンス詐欺を疑ってください。

(欧米人は普通WhatsAppというメッセージアプリでやりとります。)

 


一週間毎日やり取りをし、真剣に相手の移住計画の相談に乗ると自分の頭の中で相手のイメージは勝手に完成されます。


これがやたらセクシーな女性だったり、最初から札束を見せてくるような人だったら私も相手にしなかったでしょう。

 

同じくらいの子を育てる親、子供を置いて戦地で働く父の姿に同情してしまいました。

 

 

以下がそのやりとりです。

メイソンなる人物からメッセージが届きます。(間違ってもコンタクトしないようアカウント名は伏せます。)

 

 

なんて事のない挨拶でした。

メイソンは謙虚で感じの良い中年男性だったのです。

 

 

 

 

メイソンは私と同じく子を持つ親で、奥さんが亡くなっているので子供は学校に預けていると言います。

いつか日本で暮らしたいから日本の事を色々聞きたいのかな?と勝手に想像を膨らませていました。

 

異文化コミュニケーションはいつだって楽しい物です。

人見知りをしないタイプの私は旅先で知らない人と仲良くなる事も珍しく有りませんでした。

 

メイソンはシリアの米国軍人、階級は大尉であるという自己紹介を受けます。

軍隊の事なんて分かりませんが部下を持つ管理職同士気が合うかもなと呑気に考えていました。

 

国際情勢に疎い筆者でもシリアは紛争地域だというイメージを強く持っています。

そこでテロリストと戦い同僚を失うという彼の仕事は大変なものだと感じました。

Amazon プライムで「ハンティング・ISIS」という民間兵士がISISと戦うドキュメンタリーを見ていたので余計に信用してしまいました。)

 

 

その後、メイソン本人とその家族だという写真が送付されました。

勝手に使用している写真と思われますので顔を隠します。



その後、私も自分の家族写真を送り他愛の無い世間話。

そこから数日間は平和なやりとりでした。

 

特にメイソンはいつか日本に移住してホテル業を開設したいと言ってきます。

その計画話は盛り上がり、私も真剣に相談を受けていました。

これも彼らの手口なのでしょう。

 

その間にも時折、食事の写真やシリアの様子だという写真を送ってきます。

 

 

 

 

 

このような写真の数々に私は彼を本当に存在する人だと信じて疑いませんでした。

そしてある日パトロールの成果が実を結んだと報告が入ります。

 

 

 

 

銃撃戦の末にテロリストを捕まえたよ!なんて報告は人生で受けた事が有りません。

衝撃でした。

やったじゃん!メイソンがとても喜んでいるので私も喜びました。

この後にされた仲間の1人が負傷したが命に別状はないという話も、恐ろしいなと思いつつ兵士という職業について畏敬の念を持ちました。

 

彼はこの後のプランについて上層部と会議が有ると言い、半日くらい連絡が途切れました。

私は彼が本国に帰り息子と再会して、軍からの退職金と共に日本に移住する計画を本腰入れて練れるのかもしれないとワクワクしていました。

しかし会議を終えて送ってきたメイソンの話はまるで現実味を帯びていないものでした。

 

 

軍に従事し、俸給を得ているはずの人が他国政府から個人褒賞を受ける?
しかもこんなに金塊をたくさん??


変だなとは思いました。
しかし国際情勢に疎く軍関係者の知り合いなんて居ません。

 

命を貼る仕事に対してはこのようなボーナスが出るのか?
と、半信半疑でしたがまぁとにかくおめでとう!良かったねと祝福しました。

 

その後、今日の仕事はどうだったとか何を食べたとか、いつもの世間話が続きます。

しかしまたしてもメイソンは突拍子も無い事を言い出します。

 

 

なんとさっき金塊を船便で送るから日本で受け取って保管して欲しいと相談してきます。

 

全く意味が分かりません。

SNSで知り合ったばかりの人間に大量の金塊を送ると言う話を誰が鵜呑みに出来るでしょうか。

 

私はここで複雑な気持ちになりました。

メイソンに対する不信感と、ひょっとして猪突猛進タイプなのか?という感情です。

(この時点でもまだ、まさか実在しないだなんて思っていません。)

 

今までの彼の話は丁寧に構成されていたので、私の中のメイソンは完全にイメージとして出来上がっていました。

有能な指揮官、家族を愛する孤独で屈強な中年おじさんという理想的な映画の登場人物のような姿を想像していました。

しかし今回の話はそれを簡単に打ち破る荒唐無稽な提案です。

 

とりあえず子供を寝かしつけるから返信出来なくなると話をぼかし、1人で考える事にしました。

しかし困惑する私にメイソンは話を続けます。

 

既読スルーして子供と寝た事にしました。

翌朝、考えがまとまりハッキリNoと言おうと返信します。

 

 

 

するとメイソンはお礼に10%あげると言ってきました。

もう訳が分かりません。提案の仕方が追い詰められた悪党のようです。

金塊なんてもらっても困りますし話が余りも馬鹿げています。

筆者は40歳のおじさんです、さすがに「きな臭さ」を感じ取っていました。

 

 

報酬なんて要らない、まず周りの人に相談しろというこちらの意見を全く無視して「誰も助けてくれる人は居ない」と言ってのけます。

 

メイソンのプロフィールを思い出してください。

彼は16歳の高校生ではありません。

47歳の陸軍大尉です。

世界最強の軍事力、経済力を擁する大国アメリカで軍隊の大尉を務める男です。

相談できる人が周りに居ないというのは無理が有ります。

 

政府からの公式な報酬が現金振込ではなく金塊というのも理解できません。

ひょっとしてテロリストから押収したものを密輸しようとしてんのか?(それなら辻褄が合うな…)という映画の見過ぎな想像も膨らんでしまいました。

 

もはやどう転んでもトラブルの臭いしかしません。

 

 

 

筆者の中には「それでもまだメイソンが現実に存在する人間であると信じたい、助けてあげたい」という気持ちが残っていました。

詐欺に遭われる方はおそらく私よりこの感情が大きいのだと思います。

 

全て嘘だったという真実を認めたくないのです。

自分が騙されていたという事実が信じられないのです。

1%、真実の可能性を信じたくて、筆者は自分を経由せずメイソン自身が安全に金塊を受け取れる方法を探してみると伝えました。

 

 

しかしメイソンは「絶対大丈夫」という私が愛するヤクルトスワローズの高津監督が昨年使ったおまじないを連発し、謎の輸送知識を筆者に伝え、

息子が待っているはずの米国にも戻りたくないと言い出します。

 

もはや単なる駄々っ子です。こんな人に大尉が務まるとは思えません。

しかし筆者はまだそれでもメイソンを気の毒に思っている気持ちが有りました。

(詐欺に遭う人達の気持ちが痛いほど分かりました。)

筆者は仕事でもプライベートでも自分を頼ってくる人にハッキリNoを告げるのが苦手です。そういう人は多いでしょう、

そしてここに至るまでの一週間のやり取りはこちらにそういった感情を芽生えさせるには充分だったのです。

 

尚も渋る私に、メイソンは聞いても居ないLINEのIDを伝えてきました。

欧米人がほとんど利用しないLINEのIDを持っている事で彼を疑う気持ちは膨れ上がりました。

別にTwitterで連絡は取れ続けるじゃないかと思いましたが、私を信用させようと必死だったのでしょう。

オープンマンという翻訳にはちょっと笑ってしまいました。

 

 

私が送った「あんたを疑っているよ」というメッセージです。

メイソンも対抗して信じてくれと言い続けます。

 

 

なんと仏陀まで出てきました。

疑われている事を自覚した彼はどんどん暴走していきます。

 

 

そしてトドメの冒頭メッセージになります。

 

とにかく金塊を送りたいからと個人情報を要求するメイソン。

「あんたのやろうとしてる事は犯罪だ」、私じゃなく周りの人間に相談しろという筆者。

お互いの話は平行線です。

 

 

尚も私だけが唯一の希望だと主張するメイソン。

私がイメージしていた有能で家族愛に溢れる孤独に戦地で頑張る陸軍大尉はそこに居ませんでした。

 

私はここで彼を実在しない人物だと確信。

ブロックした後にTwitterへ通報しました。

 

 

終わってみて

今回初めて知ったのですが1キロ以上の金塊を税関を通さず日本に送る事は犯罪でした。

また1つどうでも良い、披露する事が無いであろう知識を身に付けました。

 

国際ロマンス詐欺は「ロマンス=恋愛感情」と言う固定観念が有りましたが、親同士の仲間意識で引きずり込まれるとは思ってもみませんでした。

 

私の中のメイソンは子供と写っている写真の人物です。

温厚そうで家族との時間を楽しんでいる素敵な男性です。

しかし彼はほぼ間違いなくシリアに派遣された軍人ではないのでしょう。

何処かで暮らす普通の親子写真を利用されたに過ぎません。

メイソンなんて人は最初から存在しないのです。悲しい事に。

 

メイソンの中の人が何処に居て何歳で、どういう人物なのかは知る由も有りません。

面白おかしくなるように書きましたが「騙されていた」「あんなに真剣に相談に乗ったのに」「彼といつか会える日が来るかと楽しみにしていたのに」そういう裏切られた気持ちにどっと疲れています。

結構ショックでした。

 

メイソンの中の人が早く改心し、罪を重ねる事なく人の道に戻る事を願うばかりです。

このブログが詐欺被害の予防に役立つ事を祈ります。

(既に詐欺被害に遭われた方は弁護士事務所にご連絡ください。海外ロマンス詐欺 弁護士で検索すると出てきます。)

 

 

※後日、写真を画像検索したところ本人と言われていた画像の人物はロンドンに住むジャミーンさんでした。金塊の写真も当然拾い物です。こうなったらジャミーンさんと知り合いになりたいですなぁ。

 

私がメイソンに送った何枚かの写真もおそらく悪用される事でしょう。

そう思うと更に悲しいです。

 

 

おしまい。

 

 

 

余談

実はメイソンとやりとりする半年以上前に同じくシリアで軍に従事する米国生まれの韓国人を名乗る女性ともやり取りしていました。

今思えば彼女は私をロマンスで夢中にさせようとしたのだと思います。

しかし既婚者で家族を愛する筆者はそれほど熱心に返事せず、気が向いた時のみ返信していたのでいつの間にか疎遠になっていました。

(私が自分の家族の話ばかりするので退屈だったのかなと思って反省していました。)

 

シリアやソマリアで働く軍や医者に荷物を受け取って欲しいと言われたら要注意です。

気を付けましょう。