つつがなくそつがなく

ふらっと訪れクスっとしてもらう事を目指すブログ

「奥さん大変ねぇ労わってあげてね」に潜む闇

お婆さんの顔のアイコン | かわいいフリー素材集 いらすとや

 

「奥さん2人も男の子育てて大変ね~労わってあげてね~」

公園で子供と遊んでいたりインスタやFacebookに子供の写真を載せたりするとこんな声をかけられる事がよく有る。

 

特に年配女性の方に多い。
向こうに悪意が無いのは分かってる。

文化、価値観の違いだ。

 


我が家の分担(家事は妻、育児は夫)なんて他人は知る由も無い。

 


妻が次男妊娠中に切迫流産で半年寝たきりになった際、

ワンオペだったので必然的に長男がパパっ子になり

それを見て育った次男もパパっ子になり

風呂もご飯も寝かしつけも何気ない抱っこも普段一緒に遊ぶのも

「ママいや!パパじゃなきゃイヤ!」という状態が当たり前の状況なんです、なんて毎回説明していられない。

(パパが居ない時はママと普通に接する。)

 


そもそもそういう固定観念を作り出した男性社会が根本的な原因だ。

ウチの父も家事育児はもちろん自分の世話すらもしない人だった。

 

だから分かっている。
「奥さん大変なんだからお前もっと頑張れよ」というニュアンスを口に出してしまう事は自然な事なのだ。

男=家事も育児もしないというイメージが根深い。

 

「ウチは違うんですよ」とやんわり言っても

「そりゃあんたの中では頑張ってるんだろうけどね、肝心なのは奥さんがどう思ってるかよ」

と言われた事が有る。

 

ウチの妻からの評価が肝心なら他人のあんたからの評価ほどどうでも良いものは無いと思ったが面倒なので「そうですね」と引き下がった。

 

 

アップデートされない世代

 

さすがに筆者の実母や義母はワンオペ時代の筆者を見ているのでそんな事を言ってくる事はない。

 

だが恐らく今の年配女性の半数はアップデートされる事なく人生を終えられる事だろう。

半世紀以上に渡り家事育児をしなかった夫を見ているのだからそれは仕方のない事だと言える。

 

今は男でも家事をするし育児をする時代だ。

育児休暇や在宅勤務の経験を経て少しずつ日本の男は変わろうとしている。

しない男は今も昔もしないが、いわゆるZ世代と呼ばれる今の若者が親と仲が良いのは親子間のコミュニケーション量が昔と比べて増えたからだろう。

それだけでも少しずつ良くなっている。

男は外で稼いでナンボ、家庭を顧みず仕事第一に考える人が立派という価値観は既に崩壊している。

 

 

自分がしてきた苦労を今の世代にも味合わせないと嫌みを言いたくなるのは人間の性なのか。

昭和40年代、湯沸かし器を設置した嫁に姑が「私らの時代はこんなの無かった、今は良いわね」と言っていたように

令和の姑は嫁に「私らの時代は夫の育児休暇なんて無かったし在宅も無かった」と言うのかもしれない。

 

根深い「男は家の中では無能思想」と戦うのは面倒なので筆者はスルーする。

そんな戦いをするより今の男達が地道に家事育児をして、それが当たり前になればそんな声は無くなるだろう。

 

これからも「奥さん大変ねぇ労わってあげてね」と声をかけ続けられるだろうが、

いつの日か「2人育てて立派だね」という表現に変われば良いなと思う今日この頃だった。

 

 

おしまい。