河本さんのつつーっとした涙とは対照に、井口さんは感情を爆発させず少し俯瞰的な所が印象的だった。
元々のお人柄を知らないのですが、表では感情を出さず仲間内だけに見せるタイプなのかもしれない。
ウエストランドおめでとうございます!
しかし千鳥、見取り図のリリー、空気階段の水川かたまり、ウエストランドとロングコートダディの兎、岡山はとにかく絶好調に見える。
岡山には面白い人がたくさんいるんだなぁ。
(ど素人だけど筆者のパパ友も岡山出身者で面白い人だ。)
故郷でありコンビ名の由来となったスーパー「ウエストランド」はお祭り騒ぎ。
母校でも銅像を建てて欲しいと在学生に言われているようだ。
故郷に錦を飾るというのは凄く素敵だ。
地元の人達が一丸となって応援し、一緒に喜んでくれる様は見ていてとても微笑ましい。
さて、井口さんは「お笑いの分析なんてする奴はイタい」と言っているが、
そもそもイタい分析を自覚している趣味ブログなので申し訳ないけど許して欲しい(笑)。
ではでは最終順位をおさらい。
公式はこちら。
1位 ウエストランド
2位 さや香
3位 ロングコートダディ
4位 男性ブランコ
5位 真空ジェシカ
6位 ヨネダ2000
7位 オズワルド
8位 カベポスター
9位 キュウ
10位 ダイヤモンド
個人的な予想。決勝前の履歴を見るとこのような予想をしていた。
◎本命 真空ジェシカ
〇対抗 カベポスター&ロングコートダディ
☆大穴 ヨネダ2000
見事に大ハズレ。
ウエストランドが優勝するとは(失礼ながら)全く予想できなかった。
最終決戦の体感予想では
1位 さや香
2位 ウエストランド
3位 ロングコートダディ
だった。
こちらもハズレ。
王道漫才でちゃんと面白い人達が居ると「あ、この人達が優勝するのかな」と思ってしまう。
特に大吉先生や礼二さんなどからは「漫才か漫才じゃないか」を評価の軸に置いているコメントが見られた。
だからファーストラウンド1位通過のさや香が優勝するのだと思っていた。
めちゃくちゃ面白かったし。
でも録画で見返すと会場の笑い、拍手の量を踏まえるとウエストランドに軍配が上がるに思えた。
ウエストランドは2回見て2回ともかなり笑えた。3回見てもやっぱり笑うと思う。
ファーストラウンドの印象に囚われず、最終決戦だけの評価で見るならウエストランドなので、あの圧勝も自然な事のように思う。
(強いて言うならさや香は噛んじゃったし、緊張が伝わってきてたのかな。)
勝因はどこか
1番面白いから!と言ってしまえばそれまでだけど、面白いの好みは人それぞれ。
近年はドラマを何度も作っているM-1だけに考えてみたい。
2018 霜降り明星:最年少優勝
2019 ミルクボーイ:無名からの優勝
2020 マヂカルラブリー:最下位からの優勝
2021 錦鯉:最年長で優勝
今回はどんなドラマが有ったかというと「新時代の幕開け」もとい「毒舌の復興」とでも言うのかもしれない。
2020年は9位という結果だったが「毒舌」という形で爪痕を残したウエストランドは今回も毒舌を更に磨いて優勝を勝ち取った。
初回「自分達の笑い」が通用せず下位になり、2回目で「自分達の笑い」で優勝するのはマヂカルラブリーと同じ形だ。
(ウエストランドの初回はマヂラブの初回と比べると格段にウケてたけど。)
毒舌・悪口は芸か
それでタイトルの毒舌・悪口は芸かというテーマになる。
ぺこぱが完成させた誰も傷つけない笑い。
これは素晴らしいと思う、ぺこぱの漫才はみんな好きだし筆者も好きだ。
ストレス社会で今までパワハラ・セクハラに声をあげられず弱者が虐げられてきた歴史の中で生まれた「〇〇だっていいじゃない」「それならこちらが〇〇すれば良い」という発想の転換は多くの人から拍手喝采を受けた。
ただ流れとしては、炎上に怯え始める世の中になっていた。
何でもかんでもハラスメントで、〇〇ハラという言葉は一体何種類有るのか誰も言えない世の中。
無難な事しか言わず本音を言えない中でどう笑いを提供するかになった。
沸々とした感情は有る物の、「こんな事言ったら炎上するかな」と胸の内に収めるのが当たり前になっている所にウエストランドは突破口を見出した。
ハイリスクハイリターンな突破口。
せっかくテレビの露出が増えているのに炎上か鬼スベリして仕事が激減するかもしれない。
井口さんが優勝決定後に言った「ウケたから良かったけどウケなかったら大変な事になってた」と言うセリフが全てを物語っている。
古くは波田陽区さん、有吉さん、マツコさん、爆笑問題の太田さんなど毒舌で脚光を浴びてスターになった人は多く居るが、今は皆マイルドになっている。
ここまでハラスメント世界が加速しきると
みんな「ちょっと今の世の中はやり過ぎだよ」と思っていたんだろう。
ウエストランドはその多くの人の違和感を代弁するような形でスカっとさせる爆笑をかっさらった。
いまギター侍の芸風が通じるかと言ったら厳しいだろう。
ウエストランドの毒舌はきちんと現代の世界に通用するようチューニングされた毒舌だ。
イジりは愛が肝心だ。
イジりで難しいのは「言われている方にメリットが有るか」という事だ。
出川さんや狩野英孝さん曰く「愛が有ってのいじりか自分の事しか考えてないいじりかはすぐ分かる」らしい。
毒舌には愛ではなく共感が必要だ。
偏見で悪口を言っても、見ている人が共感して笑ってくれれば成立する。
難しいのはハラスメントの網をかいくぐって特定の人物やグループ、見た目や身体的特徴などには触れないギリギリのラインで公共の電波に流せるところを突いてくる「加減」だ。
相当難しそうだ。
結局のところ、
毒舌や悪口は芸かという問いには
「ウエストランドなら芸になる」
という所が答えだろう。
筆者のように変に勘違いした素人が真似したところで怪我をするだけだ。大ヒンシュクだろう。(言われた方は大怪我ですね。)
審査員側の心境
本当のところは本人達に聞いてみないと分からない。
2回見ると実際1番ウケていたように見えたが、1回目だけだとさや香が優勝濃厚に感じた。
だからこんなツイートが有っても無理はないと思う。
うーん…
— まるだいず (@mdz_4Hp) 2022年12月18日
ウエストランドのネタの面白さというよりも、近年「誰も傷つけない笑い」の抑圧に釈然としない想いを抱えていた審査員たちによる「毒舌漫才プライドを取り戻そう」という流れだったように見えちゃった
ウエストランドの1回目終了時に志らくがそういう流れに誘導しちゃった感#M1グランプリ
この、ネタの評価以上に新風を巻き起こしたウエストランドに対する審査員の心境は志らくさんのこの表情が物語っているかもしれない。
ウエストランドの2本目が終わった時の志らく師匠の顔、良すぎない??#M1グランプリ pic.twitter.com/0a8CmzR49q
— とんかつ屋でアルバイト (@tonkatuyade) 2022年12月18日
松ちゃんも最後に
「キャラクターと技術さえあれば毒舌漫才も受け入れられるという夢を感じた」と評した。
ネタも大ウケしたがそれ以上にテレビの制作、演者、全てを代表して希望の光に映ったウエストランドが優勝したのは、
もしかしたら当然の結果だったのかもしれない。
おしまい。
余談:それぞれの感想
1位 ウエストランド
ゲラゲラ笑った。手を叩いて笑った。
優勝しなくても引っ張りだこになるだろうと確信した。
井口さんは間違いないので今後の河本さんに期待。
センスの無い制作や共演者に毒舌を求められて炎上しない事を祈る。
1本目も2本目も同じくらい面白かった。
M-1にまで切り込むのは凄いと思った。
10番目で出て最終決戦が1番だったので2本で1本のように見えたブーストも有ったように思う。でもそれも実力あってこそ。
2位 さや香
1本目の免許返納が完璧だった。超面白くて超上手くて全ネタの中で1番面白かった。
(得点もミルクボーイに続いて歴代2位らしい)
「返納せえ!」とか「親父81・・・?」の顔とかたまらん。
最後の1秒まで完璧で美しい漫才だった。これぞ漫才。これぞM-1。
シンプルに1本目の免許返納が面白過ぎて、期待度が高まり過ぎた。
2本目も面白いけどこれで優勝いけるか微妙な感じだった。
でも途中でボケとツッコミがふっと入れ替わるスタイルはめちゃくちゃ面白い。
面白くて上手なのに決勝で負けたのは和牛を彷彿とさせた。
次回も絶対決勝に来て欲しい。次回は優勝して欲しい。
3位 ロングコートダディ
安定して面白い。漫才もコントも全部面白い。
マラソンネタ好きだった。
ただ去年の肉うどんを越えるほどでは無かったかもしれないと思ってしまった。
連続2回目の挑戦だと無意識に去年のネタとも比較してしまう。
でも毎回ワクワクする。
毎年出て欲しい。
4位 男性ブランコ
Youtubeの公式で見れるので何度もリピートしてみてる。
筆者個人のリピート回数は現在1位。
めちゃくちゃ面白かった。
浦井さんの真面目そうな見た目と相反する大バカなネタはゲラゲラ笑った。
静と動でガっと笑いを生む爆発力が有って良い。
死んだ後に起き上がって落ち着いて説教するところがたまらん。
ロングコートダディの2本目が(個人的に)そこまでだったので男性ブランコの2本目はどんなのだったか気になる。
5位 真空ジェシカ
相変わらずインテリジェンスを感じるスタイルで良かった。
ただ爆発はしないのでずっとヒットするジャブを打たれている感じ。
今のままだと優勝は難しいのかなと思った。
真空ジェシカ面白いんだけどねって来年も言われない為には何か突き抜けた爆発が必要なのかもしれない。
1番笑ったのはハッキングしたのに「政府は嘘をついています!・・・まぁそれだけなんですけど」のところ。
6位 ヨネダ2000
最近のM-1にはランジャタイ枠でも有るんだろうか、と言ったら失礼か。
決勝進出が嬉しかった貴重な女性コンビ。
まだ結成2年、年齢も23歳。天才過ぎる。
生で見た方がきっと面白いんだろう。
優勝出来るかと言われたら分からないけど好きな人はめっちゃ好きというスタイルは良い。
個人的には本編に入る前の掛け合い「餅つきの掛け声は~」「ぺったんこ~」「ある~」「え~あるとか無いとかなんだごめんなさい私ぺったんこって言っちゃった」みたいな所が1番面白かった。
リズム劇に入るまえにちゃんと掛け合いでも面白い漫才が出来るからこの2人は本当に凄いとおもう。
7位 オズワルド
今年も面白かった。
面白かったんだけど、去年の1本目が面白過ぎて見る側も審査する側もハードルが上がっている。
もっとくれ状態になっている。
最終決戦に行かずの敗戦は長い目で見ると逆に良い方向へ向かうかもしれない。
応援してくれる人はたくさん居ると思うので頑張って欲しい。
8位 カベポスター
トップバッターとしてとても良い働き。
今年もM-1面白いなと期待させてくれた。
面白かったし凄くよく練られていた。
トップバッターという不利も跳ね除ける完成度だったけど、最終決戦に行った3組+男性ブランコに比較すると勝負としては厳しかったかもしれない。
9位 キュウ
〇〇でしょう!面白かった。
でもずっと同じことの繰り返しだったので4分が長く感じてしまった。
この後に何かあるのかな?と思っていたらそのまま終わってしまったので残念。
10位 ダイヤモンド
キュウと同じくこの後に何かあるのかな?と思っていたまま終了する形。
ボケの人の表情も硬く、怒っているようにも見えてしまった。
ツッコミの人のテンションは良かったと思う。
キュウもダイヤモンドもウエストランドも、2人のウチ1人はテンション低めなのにウエストランドとは段違いな結果となった。
ネタでテンション低いように見えた2組と、普通の会話の派生でテンション低めに見えた差なのかもしれない。お笑いは難しいなぁ。
番外編 山田邦子さん
採点に一部の人が騒いでいるけど、筆者は昔ながらの邦ちゃんで批判も気にしてない風で安心した。
色んな人が分析した結果、邦ちゃんの採点1つで最終決戦に行く行かないに強くかかっている所は無かったと判明。(邦ちゃん不在で再計算しても最終決戦メンバーは同じらしい)
上沼恵美子さんもめちゃくちゃに言われてて苦にして辞めてしまった。
上沼さんの「好かれよう思ったらいくらでも良い点数付けますよ、でも人生かかってますから。こっちも死ぬ気でやってます」。というコメントが印象的だった。
アンチは気にせず来年も審査員をやって欲しい。
今年もM-1は面白かった。
来年も楽しみ!