ヤクルトファンが見るオリックスの名選手たち
前説
日本シリーズが終わってしまった。
勝敗は兵家の常。負けてしまった事は仕方がない。
去年はウチ(ヤクルト)が勝って今年はオリックスが勝った。
勝敗には色んな要因が有って、それらは色んな専門家が述べているから素人の筆者が書いても仕方がないが、
何しろ今年の日本シリーズは去年以上に面白かった。負けたのにそう感じる。
映画や漫画にしても名作になるだろう。
毎試合緊迫した流れで、悔しいというよりも「こんなに面白い祭りがもう見れないのか…終わってしまったのか」という喪失感の方が強い。
実際筆者の職場でも普段野球の話なんてしない人達が「ヤクルトには申し訳ないけど連日面白い試合だったね」と声をかけてくる。
自宅では妻も子供も一緒にユニフォームで観戦してくれて幸せだった。
本当に素晴らしい日本シリーズだった。間違いなく球界の歴史に残り、両チームのファンにとって伝説として語られ続ける展開だった。
筆者の好きな神田伯山さんに講談として語ってもらいたい。
ヤクルト側の内容は非常に歯がゆいものだった。
文句なし100点なのはオスナ。そしてライアン、カツオ(石川)だろう、田口率いるリリーフ陣もよく頑張った。清水、石山、木澤、今野、みんな完璧だった。
塩見がよく頑張ったものの、村上・山田が機能せず打撃の主役が外国人、打ち砕かれた投手も外国人という外国人の印象が強く残る展開だった。
これ以上書くとヤクルトは愚痴になってしまう。
だからオリックスへの賛辞を込めて、ヤクルトファンの筆者が見るオリックスの特に光った名選手たちを挙げていく。
補足:選手の成績はこちらを参照しています。
https://npb.jp/bis/2022/stats/idb1ns_b.html
野手編
吉田正尚(29歳)
7試合32打席 4安打 本塁打2本 打点4 打率.174 出塁率.406
優秀選手賞に選ばれた1人。
日本シリーズで活躍した選手は誰ですか?とアンケートを取ったら両チーム対象でも上位を取るだろう。
「重要な局面で結果を出す」という事に長けているしチャンスも作れる。
村上と同じく警戒されてフォアボールが多くヒット数が少ないがヤクルトファンの多くは「吉田にやられた」と多くの人が感じただろう。
176センチの筆者よりも低いのにあの長打力、正確無比なバッティング。
打撃の神に愛されている選手だ。
杉本裕太郎(31歳)
7試合29打席 6安打 打点3 打率.231 出塁率.310
ホームラン王の印象が強いのでそちらばかりに気を取られた。
「あれ、この人あんま打たないんだね」と思っていたが結局決勝打となるヒットを放ちオリックスを優勝へ導いた立役者。
エラー扱いとなった幻の打点3が有るので実質は打点6。
ホームランは無いが吉田と同じく重要な局面で打つ「持っている人」だった。
後半「なんだかんだ言ってラオウめっちゃ活躍してるな」と思っていたらMVPだったので納得。
吉田とは青学時代の先輩後輩らしい。凄い2人が居たものだ。
西野真弘(32歳)
5試合12打席 5安打 打点2 打率.455 出塁率.417
数字の通りコンスタントに打つ。
それにガッツ溢れるプレーが目立っていた。
第5戦、9回でマクガフの悪送球を呼びサヨナラ勝利。
結局この人がウチの守護神にオリックスへの苦手意識を作り出したと思う。
ヤクルトファンからすると恨み深い人だがあの魂のプレーがオリックスへ優勝を呼び込んだのは間違いない。
紅林弘太郎(20歳)
7試合30打席8安打 打点2 打率.296 出塁率.345
まだ20歳ですってよ奥さん。
去年めちゃくちゃ苦しめられた時が19歳。化け物かこの子は。
次代の吉田正尚。守備も良い、走攻守揃った才能の塊だ。打席に立つ姿には既に華が有る。
「ここで紅林か~」「また紅林か~」と何度も呟かされた。
ヤクルトで言う青木が海外行きを決めた後の山田みたいなポテンシャルを感じる。
ウチの村上と同様、オリックスの宝だろう。
投手編
山﨑福也 (30歳)
登板2 勝利1 投球回9 防御率0.00
吉田と同じく優秀選手賞に選ばれた。
童顔なので25歳くらいかと思っていたら30歳。
下の名前は「さちや」と読むらしい。
オリックスには言わずとしれた絶対的エース山本由伸が居る。
ヤクルトはその山本由伸を初戦破ったので一気に連勝して決めたかったが、この男が立ちはだかった。
「なんだよ、山本打ち崩してもまだまだ油断出来ないな」と投手王国オリックスの代表としてヤクルト打線はコテンパンに抑えられた。かわいい顔して憎いやつ。(褒めてます。)
油断出来ないどころか負けてしまった。しょんぼり。
比嘉幹貴(39歳)
登板5 投球回4 防御率0.00
筆者が今回1番活躍したと思うピッチャーだ。
リリーフがスポットライトを浴びる事はそう多くないが実際この人を賞賛する声、記事が後を絶たない。
ワゲスパックと同じ最多の5登板、ウチにとっての清水や田口のような存在だ。
変幻自在な投球で「比嘉が出てきたらこの回は無理だな」と諦めさせられた。
いついかなる時でも結果を出すモンスター級のリリーフだ。全12球団で最も監督が欲しがる投手の1人だろう。「そうだねぇウチにも比嘉みたいなのが居ればねぇ」という声がどこからでも聞こえてきそうである。
ワゲスパックは抑えに出るとして、この比嘉が何回に出されるかが勝敗のカギを握っていたと言っても過言ではない。
ワゲスパック(28歳)
登板5 勝利1 セーブ3 投球回5 防御率0.00
優勝決定時のピッチャー。お手上げの活躍だった。
最後の試合、オスナが山﨑颯一郎からホームランを打った時「いけるかな」と少し思った。
だが9回ワゲスパックが出た途端、ヤクルトファンはため息を吐いた。
この投手の強みを筆者は理解出来ていない、だが数字は物凄く良い。
日本一の投手王国で最後の砦となれる器なのだろう。
今回紹介しきれなかった「宇田川優希」といいオリックスのリリーフ陣はヤバい。
とんでもないチームだった。
監督編
中嶋聡(53歳)
4勝2敗1分け
監督は1人しか居ないから「編」も何もないが日本一の監督だ、挙げないわけにはいかないだろう。
2敗1分け、あの苦境から立て直して破竹の4連勝。
この名将は一体どんな魔法を選手たちにかけたのか。
窮地に立った事で何かを覚醒させたのか秘策が当たったのか。
監督以外のコーチ陣の活躍も有ったんだろう。だが勝っても負けても勝敗の責任を最も負うのは監督だ。
おめでとうございます。来年は負けませんよ(負け惜しみ)。
それにしても良い写真だ。高津の後ろ姿が泣ける。
最後に
ヤクルトの敗因、と書くと悲しいのでオリックスの勝因にする。
ド素人の筆者的にも3番4番の山田村上を抑え込んだオリックスの巻き返し戦術が凄かった。
「オスナに打たれたとしても」という前提の元で投手陣を組み立てていたのかもしれない。
2敗1分けまで試合が進んだ時点で、もしかしたらヤクルトは丸裸にされていたのかしら。
もちろん選手個人個人の奮闘あってこそだがチーム一丸となれたオリックスと上手く歯車が回らなかったヤクルトでは試合数が多ければ多いほど差が出てしまったのかもしれない。
ちなみに筆者は第1戦の試合だけ神宮で生観戦していた。(友人がチケットを用意してくれた)
1戦目は苦戦したものの山本由伸を打ち崩した快勝。今年も優勝するものと信じて疑わなかった。
おめでとうオリックス。来年またやりましょう。
おしまい。