交渉が上手な人、下手な人の共通点
前回「悩める課長1年生①派遣さんとのモヤモヤ 」という内容を書いた。
書いている内にモヤモヤがどんどん出てきて余りにも長文になってしまった。
反省。
しかしまだ職場での話で創作意欲が湧くので経験から見る交渉が上手な人、下手な人の共通点を書こうと思う。
筆者自身は上手な人の真似をする事で成功した経験が有る。
筆者のような凡人は兎に角パクる、採り入れる事で可能性を上げるしかない。
とりあえず下手な人の共通点から始める。
交渉が下手な人の共通点
- 筋道(ストーリー)を考えてこない
- 関係性を作らずいきなり交渉のテーブルに招く
- 妥協点を予め決めずに話し始める
- 相手からの質問を想定してこない
- 第3者に相談しない、協力を仰がない
一言にまとめると「準備不足」だ。
交渉する内容によって変わる事は有っても基礎は同じだ。
プレゼンでも商談でも家族の旅行先でもやる事は同じ。
逆に上手な人はこれの真逆の事を行っている。
順に追うが最初に言ってしまえば最も重要なのは2の関係だ。
では順に1から。
1.筋道(ストーリー)を考えてこない
交渉をするにあたり、いきなり単刀直入に述べるのは得策ではない。
相手が忙しい人だったとしても最低限の前振りは必要だ。
ショッピングモールに同行した子供がオモチャを見つけて駆け寄り「ねえこれ買って~」と言われて即OKする親はあまり居ないだろう。
持っているオモチャが壊れた、最後に買ってもらってからどれくらい経った、
お手伝いをたくさんした、前回次にここに来た時に買ってくれると約束した。
などなど必要性となる前振りが有れば検討の余地が有る。
壊れた、どれくらい経ったかは必要性の話で、
お手伝いや約束は実績や根拠だ。
必要性を語り要求内容を述べ、実績と根拠を並べれば交渉は優位にスタートする。
下手な人はいきなり要求する。
いきなり要求するのは交渉とは言えない。
「これちょうだい」「ダメよ」では作戦も何もない。
反対に、長々と話すだけで終着点を明らかにしないのも相手をイライラさせる。
交渉する際は話の起承転結を準備してから挑んだ方が良い。
2.関係性を作らずいきなり交渉のテーブルに招く
これが最も重要だ。
信頼関係が出来ていれば交渉はスムーズに運ぶ、クドクド言わなくても無茶な要求じゃない限りOKを貰える可能性が高い。
どんなに下手な交渉でもOKしてくれる可能性が有る。
ビジネスは元より私生活では理屈より関係性が勝るケースは多々ある。
反対に関係性の悪い人に交渉を挑むのは難しい。
人間というものは例え相手の言い分が正しいと分かっても嫌いな人からの発言は認めたくない。
仕事なら交渉相手がスッパリ割り切ってくれれば可能性は有るが、仕事でないなら難航するだろう。
普段から人には誠意と感謝の気持ちを持って対応した方が交渉する際に有利なのは間違いない。
3.妥協点を決めずに話し始める
筆者の社会人としての経験で、交渉時に最もダメだなぁと思うのはこれだ。
失敗する人は100の要求を通そうとする時に100の要求をする。
当たり前に聞こえるかもしれないが「100くれ」と言って「No」と言われた時、そこから妥協するには99からだ。
100欲しいなら150あたりから交渉を始めなければいけない。
極端な例だが、温泉旅行に行きたいとする。
パートナーに今度隣の県の温泉に行かない?と聞いて、Noと言われる可能性も捨てきれない場合はとりあえずハワイに行きたいと行ってみる。
ハワイに行かない? → そんなお金(休み)無いよ
じゃあ沖縄は? → それだってお金(休み)無いよ
じゃあ隣の県に1泊2日なら? → うーんそれなぁ、まぁ良いかな。
となる。
もちろん絶対にそうなる訳ではないがどんな形であれ、こちらは2回譲歩している。
譲歩したという形を取る事が重要だ。
ハワイも沖縄も言わずいきなり温泉行きたいと告げるとNoと言われた時の次の手が無い。
人間の心理として、自分がNoと言い続けて相手が譲歩し続けるとその内「この辺りまで下げてきたらOKしようかな」という計算が無意識に働く。
代替案も出さずダメダメ言ってる方は徐々に追い詰められた気持ちになる。
値切り交渉も最初は半額など無茶苦茶なところから始めて相手と譲歩しあって妥協点を見つける。
この方法でダメな場合はそもそも絶対無理な要求なのだ。
妥協点を決めずに交渉を始める人は絶対に100必要なのにいきなり100くれと言って、ダメと言われると目標が達成できないので感情的になったりする。
交渉では絶対に相手の事を悪く言ってはいけない。
交渉が下手な人は多くの場合、通らないと相手を責める。
それは最悪の交渉だ、脅迫とも取れてしまう。
4.相手からの質問を想定してこない
要求内容に検討する余地が有った場合、当然相手は決断に必要な情報を求めてくる。
1 交渉相手に取ってどんなメリットが有るか
2 それが必要な根拠は何か
3 それを求める資格が要求側(あなた)に有るか
4 リスク、費用、期間、成功率
様々な事を質問してくるかもしれない。
それを事前に予測して答えを用意しておく必要が有る。
質問されて答えられない場合、それだけで却下される事は無くても承諾はしてくれない可能性が有る。
承諾を持ってして交渉成立なのだから保留は失敗に近い。時間がたってそのままうやむやになるかもしれない。
5.第3者に相談しない、協力を仰がない
1人で頼みに行くより2人で、3人で行くより4人で行った方が要求は通りやすい。
単純に迫力が違う。ストライキが良い例だ。
ただここで言いたいのは同席人数を増やす事ではない。
要求内容を第3者に聞いてもらって意見をもらったり、後方支援してもらうという意味だ。
特に後方支援は抜群に効果を発揮する。
〇〇が必要だから買ってくださいという要求だった場合、
その必要性や有用性を自分自身ではなく第3者から事前に発信してもらう。
とある有名芸人さんは、芸人をやる前にコピー機の営業を生業とするサラリーマンだった。
飛び込みで「コピー機買ってください」と営業したところであまりにも効率が悪い。
コピー機は高額だ。
その芸人さんは営業に行く会社の女性と事前に合コンを行い、この日のこの時間にアクションかけるからその時までに今使っているコピー機の不満を上司にアピールしておいてと頼んでから営業していたらしい。
良い事か悪い事かは置いといて、第3者(しかも身内側)から不満を聞いていれば入替を検討する確率は格段に上がる。
成功するかしないかは準備次第
結局1~5全てに共通するのは準備だ。
戦争に例えるのは良く無いが歴史上の戦いを見ても勝敗を決するのは十中八九準備で決まる。
情報は優秀な戦士より価値が有る。
とっさの機転で何とか出来る、アドリブで何とかすると言っている人は失敗するし、
とっさの機転やアドリブにもその基となる情報(準備)が必要だ。
予想外の質問が来た時、交渉相手との信頼関係が事前に出来ていれば何とかなる。
普段運動していない人が全力で走っても良い結果は出ない。
備えあれば患いなし。
何事にも準備を周到に行う人が成功を手にするのは世の常だ。
おしまい。
以前書いた上手な説明、下手な説明はこちら。